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第9回社内勉強会 在宅療法を支援するフィジカルアセスメント

2009.11.14.21:45

「在宅療法を支援するフィジカルアセスメント」

平成21年11月14日@品川中小企業センター

 今回の勉強会のテーマはフィジカルアセスメント。フィジカルアセスメントとは、患者さんの症状・徴候やその変化をさまざまな方法で観察し、患者さんのどこが悪いのか、また正常か異常かの「判断」をするものです。訪問看護は1対1。病院とは違って他の目が行き渡りにくり環境です。つまり、そこにいる人間が、客観的に情報収集を行い、観察された所見からさまざまな可能性を「考え」なければなりません。最近注目度の高い、特に在宅では必要度の高いスキル、それがフィジカルアセスメントです。

 そんなテーマを選定するにあたって講師をお願いしたのが、その道の第1人者、名古屋大学医学部保健学科基礎看護学講座教授の山内豊明先生です。

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 数々の書籍を出版され、全国各地で講演に飛び回る山内先生に奇跡的に引き受けていただき、弊社での勉強会義を実施することができました。スタッフの中にも先生を知る者が数多くいたため、60名を超える参加者が集まりました。そして今回、フィジカルアセスメントの中でも「聴診」に重きを置いた勉強会を行いました。

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いきなりのテスト

 講義が始まって最初に行われたことが、「呼吸音聴き分けテスト」でした。会場スピーカーにさまざまな呼吸(異常)音が 10種類、20秒ずつ流され、それを聴きとるというものです。このテストの目的は、聴診ができるできない、合っている間違っているという判定するものではなく、“現在位置を知る”ためでした。十人十色というように、人はそれぞれ違います。職種や年齢、熟練度、得手不得手などによって、今の知識・技術が違うのは当たり前。大事なことは、今いる場所を知ることで、目的地までの道筋を知ることです。最終的に全員がその目的地にたどり着けばよい、それがこのテストを行った意図とのことです。

 聴き終わった後、隣同士でどのように聴きとったか見比べました。全員が同じものを聴いたにも関わらず、隣同士で全てが一致した者はいませんでした。これに対して先生が指摘しました。

「医療職である以上、これは良いのか悪いのか、原因は何なのかを、求められたら説明する義務があります。しかし、同じものを聴いたはずのに、違う表現をそれぞれが用いています。自分が聴いた音を持って帰って他人に聴かせることはできないため、現場ではあなた自身がその場で判断する必要があります。そしてそれを人に伝えようとする際、互いが同じものとして“正確に”理解できるようになっていなければいけません。皆が同じでなければ、プロとはいえません。フィジカルアセスメントの根幹はそこにあります。」

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なぜ人によって異なるのか

 同じものを聴いたのに、なぜ表現方法が人により変わってしまうのか。それは、音の「標準化」がされていないからとのことです。つまり、何をどこに分類すればいいのかが「統一」されていない=全体で標準化がされていないから、それぞれが独自の判断や言葉で記載してしまうのです。

 ちなみに、山内先生が2008年にあるセミナーで、80人の看護師に対して呼吸音を流し、どう聴こ
えたかを書いてもらうという実験的な調査を行ったところ、1つの呼吸音に対して60通り以上の書き方があり、さらには、1問目の呼吸音を「ギューォ」と答える人もいれば、同じ「ギューォ」という表現を3問目に対する回答にする人もいたといった具合で、計10問の問いに対して、のべ285通りの表現があったそうです。

 こういったことを避けるために「標準化」は必要です。「標準化」とは、“画一化”や“均一化”とは違い、個別性を大切にするための基礎づくりです。「分かる」という漢字は、「分ける」という風にも使えます。つまり、理解するということは、それはどう分類できるかを知っている、ということです。そして、分け方はその目的によって変わるため、細かいことがいいわけではありません。判断する上で必要な程度で十分、とのことです。

ですので、解決策は単純です。

異常音を標準化

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 異常音のことを「副雑音」と言います。 これは通常の呼吸音に異常音が加わったもので、上の表にあるように、断続的な呼吸音(断続性副雑音)と連続的な音(連続性副雑音)があり、断続性は細かい音と粗い音、連続性は低調性と高調性に分けられます。これに加えてもう1つ、肺の中ではなく、胸壁の表面近くで、胸膜同士がこすれ合うことで起こる胸膜摩擦音があります。音を文字にすると何通りもの表現ができますが、実際に異常な呼吸音の分類は「4+1」の5つしかないとのことです。

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 断続性副雑音は、音が細かいか粗いかによってケア方針ががまったく異なるため、聴診開始時の音の状態を確実に聴き分けることが必要です。

  細かい断続性副雑音の場合、末梢の肺胞レベルで構造的な異常が起こっていることを意味しています。健康な肺胞はゴム風船のように音もなくふくらみますが、肺胞が弾力性を失うと、硬くなったゴム風船を無理にふくらまそうとしたときのように「バリバリ」という細かい破裂音が聞こえるのです。つまり、拘束性の肺疾患が疑われます。

  粗い断続性副雑音は、肺水腫や肺炎などが原因で気道内に水分が増加するため、気泡が破裂したような音となって聞こえます。この場合、気道内に貯まった水分を排出するためのドレナージが必要となってきます。

 連続性副雑音は、誤嚥や腫瘍の張り出し、気管支喘息などが原因で、気道が狭くなっているために起こります。ちょうど狭い通路を風が吹き抜ける時に音がするのと同じ原理です。元々狭い肺胞付近の気管支がさらに狭くなって音がすることは考えられないため、ある程度幅のある中枢性気道のトラブルです。音の高低は、患者ごとの程度の差であるため、聴診開始時の音の高低はそれほど問題にはなりませんが、音調の変化には注意が必要です。

 低調性の連続性副雑音から高調性副雑音に変化した場合、気道の狭窄が進んでいる(口笛を吹くときに、口をすぼめる方が高い音がでる原理)ことがわかります。さらに進行し、音が聴こえなくなった場合は、気道閉塞の可能性もあるため、早急な対応が必要となります。

 胸膜摩擦音は転移性がんなどにより、臓側胸膜と壁側胸膜との間にある水分が不足することが原因で起こります。

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聴診における留意点

音の有無だけでなく、その性状も。

「異常音がする」ではアセスメントとは言えません。「どのような」音がするのかを聴く必要があります。その際大切なのが、 次の2つです。
①その音が何かを知っていること
②その音が何という名前か知っていること

きちんと分類されているか、ということです。

静かな環境で聴く。

外部の雑音に邪魔をされて聴きとりにくくなります。できる限り他の音を遠ざけること。聴診器の耳への挿入方法も、耳の中にしっかり収まるよう、後ろから前に向かって挿入します。

聴診器は直接肌に当てる。

衣服の上からだと、衣服のこすれる音が入ってしまう場合があります。

一つずつ集中して聴く。

呼吸音の聴診をしていても、心音や内臓音が混ざって聞こえて来る場合があります。呼吸音を聴く時は、呼吸音に収集して聴くことが大切です。

予測をして聴く。

複数の疾患を抱える方からは複数の異常音が聴取されることもあります。「断続性副雑音は聞こえないか?」「以前に比べ連続音が高調化していないか?」など、予測をして聴くことで精度が上がります。

再度テストにチャレンジ

 以上のレクチャーを受け、それぞれの中で分類が明確になった後、再度10の音を聞き分けるテストを行いました。問題は、最初に行ったテストの順番を入れ替えただけのものです。

その結果は・・・スタッフの感想を読んでみてください!

最後に

 看護におけるフィジカルアセスメントの意義は、生命維持の確保、つまり急変に気付くことができるということです。適切なフィジカルアセスメントが医師の診療をスムーズにし、さらに療養上の世話の情報が加わることによって、より患者さんの生活にプラスとなる診療が可能となるわけです。特に在宅では、見る目の数・時間が限られていますので、在宅療養を安定して継続するためには、早期に発見して対処しなければなりません。在宅におけるフィジカルアセスメントの重要性をあらためて痛感しました。

今回は呼吸の聴診の部分でかなりの時間を費やしてしまいました。(それでも駆け足でしたが)
フィジカルアセスメントには聴診の他にも、視診・触診・打診などがあります。今後それらも勉強会等で取り入れて、現場に活かしていきたいと思います。

●参加したスタッフの感想●

・ユーモアに富んだ例え話を交え、非常にわかりやすい説明をして頂いたおかげで、今までよく分かっていなかったことが分かり、クリアになりました。

・聴診をしてもどこか自信がなくあいまいだったが、思っていたよりも単純に分類できるのだと気づいた。

・副雑音の種類について一つ一つ丁寧に教えていただき、その音の特徴や聞き分けるポイント、またその原因について分かりやすく説明していただいた結果、最後のテスト結果が向上しました。

・普段から聴診に関しては自分はじっくり聴いている方だと自負していましたが、いかに我流になってきたか気付くことができました。

・訪問では、自分の五感と血圧計・聴診器だけで情報を収集して判断し、必要時、Dr・病院と連携を取っていかなければならず、看護師の迅速な判断でお客様の生命にも影響を及ぼすこともあるため、しっかりと今回学んだことを復習して活かしていきたいと思います。

・今まで聴診は数え切れないほど行ってきましたが、自己流の表現方法だったり勤務していた病棟・ステーション特有の表現の仕方になっていました。呼吸の聴診における標準語は、誰が聴いても、またその場にいなくても全員が状態を理解・把握できるもので、とても参考になり、活用しようと思います。

・なかなか今まで具体的に「聴診」における音の評価をきちんと明確にできていませんでしたが、本日、音の特徴とその表記を知り、もやもやしていたことがスッキリする感覚がありました。

・山内先生の『標準化しなければ個別性を大事にできない』との言葉が印象に残りました。この標準化をスタッフ全員と共有するため、日頃の研鑚が大切と感じました。

・訪問時、お客様の肺音を聴いてどう判断してよいかわからない時、音を持ちかえることができないため、その辺の技術向上ができずにいました。それが、今回の研修で基本を教わり、経験と知識がやっと一致したように感じます。

・「分かる=分ける」とのお話は、自己の問題点を明らかにさせ、解決策も明確になり、他の分野にも応用できると思います。これまで他の分野についても分かったつもりで整理がついていない所に、解決策を見出す良いきっかけになりそうです。

・「分ける」は「分かる」の話や、画一化・均一化ではなく標準化が重要という話、必要なことは必要だが、必要以上のことは必要ない、調べてどうかではなく、何で調べるのか、という考え方は今後の学習にも役立つと思いました。

・訪問看護ステーションからのリハビリとして入職して間もない中、呼吸状態や循環の状態で判断に困ることもあって参加しましたが、音を分類できたことで、文字にして全ての人にわかるように評価し伝えることができることを学んだ。

・担当制の場合、もちろんメリットも大きいが、独りよがりの判断になってはいないか、と常に意識している。そのためには確かなスキルが基本になくてはならないが、10のテストはクリアできていたので自信につながった。

・『わからない事が何なのかわかっていれば、それはもうわかることなんだ』という先生のお言葉がすごく印象に残りました。

・フィジカルアセスメントというと、知らなきゃならないことが幅広くある気がしてパニックになりそうでしたが、そうではなくて『分類の原理』を認識することが一番大切だと教わりました。

・日頃使っている言葉を統一していくことが、こんなに系統立てて物事を整理するにあたって大切なことだということを痛感しました。ステーションからたくさん受講することで、伝達せずとも統一できたことは収穫でした。

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