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第6回社内勉強会 高次脳機能障害 どのように対応するか

2009.05.16.20:21

「高次脳機能障害 どのように対応するか」

平成21年5月16日@目黒中小企業センター

 平成21年度最初の勉強会は「高次脳機能障害」。この文字面を見ただけで「うっ、難しい」「何だかよくわからない」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。そんな意識の表れか、だからこそ学びたいという意欲の表れか、過去最多のスタッフの参加がありました。

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 今回の講師はリハビリテーション医学を専門とされ、現在国立成育医療センターリハビリテーション科医長を務め、また高次脳機能障害に関して数々の著書を出版されています、橋本圭司先生です。
 さらに、事故による脳障害で記憶が1日しか持たなくなった主人公が、学生プロレスと出会うことによって生の実感を取り戻す姿を追った映画「ガチ・ボーイ」(小泉徳宏監督、佐藤隆太主演)の医療監修をされた方でもあります。実際に講義中、そのメイキングビデオを見せていただき、高次脳機能障害の中で最もよく見られる「記憶障害」について、映像により端的に把握することができました。

 脳の仕組みを熟知していらっしゃるがゆえに、先生の講義はまさに圧巻!飽きさせない、聞く者を惹きつける工夫がなされていました。朝9時半開始から2時間講義、実技なし、休憩なしであるにも関わらず、スタッフは最初から最後まで集中力が切れることなく先生の話に食い入っていました。

そして、今回の講義において重要なキーワードが「今日、明日からできること」でした。高次脳機能障害とは何か、の勉強会ではなく、明日からそれで苦しんでいる方々に何ができるかについて、を具体的かつ分かりやすく説明していただけました。
以下、講義における重要点を挙げます。

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 高次脳機能障害の患者は、東京都で約5万人、全国では約50万人いるといわれています。患者層は、若年では脳外傷、中高年では脳血管障害の患者が多いです。しかし、実際に統計を見ると、失語・失認・失行・半側空間無視といった、いわゆる高次脳機能障害で典型的な障害といわれるものの頻度は低く、①記憶障害 ②情緒の障害 ③注意障害 ④遂行機能障害 が最も多く見られる障害となっています。このため橋本先生は、高次脳機能障害ということばを、「認知障害」や「神経心理学的障害」と言い換えていらっしゃいました。


神経心理循環に対する理解

 “リハビリテーションの鍵は、「神経心理循環をいかにコントロールできるか」にかかっている。”

先生が断言されたことばです。神経心理循環とは、ヒトの能力・機能を身体能力、精神能力と分け、その関係性を基にいかに全身をよいハーモニー(奏和)へと導くかを表したものです。図の青色の部分が身体能力(低次機能)、オレンジの部分が精神能力(高次機能)となります。神経心理循環は、障害をどう診断するかではなく、明日からどのように生きていくかを考える上で非常に重要な概念です。

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これを理解する基本は、左回りのよい循環で、より基本的なことから整える、ということです。なぜこれが必要かというと、それは人間の機能というのは、互いに次のように関連しているから、と説明されます。

☆呼吸・循環機能がおぼつかない人は、(呼吸・循環)
⇒ 意識や覚醒が低いことがある。(意識・覚醒)
⇒意識や覚醒の低下がある人は姿勢が悪く、運動機能も低い。(運動・姿勢)
⇒姿勢が悪い人は、摂食・嚥下機能が安定しておらず、栄養状態が悪い。(摂食・嚥下)
⇒食事や栄養が安定していない人は、身体的耐久力が低い。(耐久力【身体】)
⇒身体的耐久力がない人は精神的耐久力がない。(耐久力【精神】)
⇒精神的耐久力がない人は、辛抱できない。(抑制)
⇒辛抱できない人は、多くの場合やる気もない。(意欲・発動性)
⇒やる気がない人は集中力がない。(注意・集中)
⇒集中力がない人は、人が言っていることが理解できない。(情報獲得)
⇒人が言っていることが理解できない人は、物事を憶えることができない。(記憶)
⇒憶えられない人は、物事を段取りよく進めることができない。(遂行機能)
⇒段取りよく進められない人は、現実感がなく、病識もない。(現実感)
⇒現実感がないため、自分のいる時間や場所も認識できない。(見当識)
⇒このような人は、それぞれの機能をうまく調和させ、美しいハーモニーを奏でること
  (奏和)ができない。

したがって、記憶障害や遂行機能障害のある方に、その障害に対するリハビリだけを行っても結果は芳しくない。むしろ、まず呼吸を整え、意識をはっきりさせ、姿勢を直し、食事をきちんと取って体力を付けることから始めることが重要であるという概念です。これにより、現状把握とリハビリの開始点が分かります。

注意障害

◆症状

・いつも注意散漫である。
・話についていけない。
・言われていることに興味をしめさない。 等

●対処法

 支援者の言葉、態度等にも原因が場合があるため、工夫が必要である。話についていっているか確認する、周囲の音など注意散漫になる要因を取り除いて接する、元々興味のあるものから課題として与えることが重要。

記憶障害

◆症状

・作業中に自分が何をしていたか忘れる。
・人の名前やものの名前が出てこない。
・約束を守れない、最後までやり遂げることができない。 等

●対処法

 高次脳機能障害の場合、エピソード記憶の能力は低下するが、経験記憶の能力は保たれているため、いろいろなことを体験を通じて憶えさせ、暗記ができないことからくる自信喪失を防ぐことが大切。頻繁にメモを取らせたり、伝えたことを復唱させる、重要なものは毎日同じ場所に置く、日記を書く等が重要。

遂行機能障害

◆症状

・要点を絞り込むのが困難。
・2つ以上の作業を同時進行できない。
・予測できないことが起きると、そこで行動が止まってしまう。等

●対処法

 曖昧な言葉、表現は避け、具体的に指示することが肝要。何でも書き出す、5W1H等で詳しく説明する、時間に余裕を持って計画を立てる、頻繁に立ち止まり、その都度確認することが大切。

その他、失語症・易疲労性・発動性の低下、病識の欠如等への個別具体的な対処法の説明もありました。

講義を通じて感じたことは、高次脳機能障害であっても人の脳であり、人の脳によい情報の与え方、もらい方は障害のある方に対しても同様である、ということでした。 抑揚をつける、キーワードで7秒以内に、内容を具体的に、できないことを責めない、ジェスチャーなども交えて、などは、サービスや教育などにも十分応用可能な考え方でした。そういった意味でも、高次脳機能障害は、あくまで脳の一部機能における障害であるとの認識を深めてくれ、今後お客様へ接する上でとても重要なヒントを得ました。

20090516-04.png


●参加したスタッフの感想●

・今まで学校で学んできたことを基にアプローチしてきましたが、今回の講義で高次脳機能障害に対する捉え方が変わりました。

・こんなに面白い講義は初めてだというぐらい面白かった。高次脳機能障害といわれるだけで、「脳のこと分からない」という気持ちが強く苦手だったが、その苦手意識が払拭された。

・ 学生の時の講義がこんなに楽しかったら、私の成績ももう少し良かったかもしれません。自分が日頃行っていることが理論的にスッキリまとまり、また悩んでいたことの解決への手がかりを掴むことができました。

・ 明日からでもできることを提示して頂き、可能性がひろがりました。自分の引き出しを増やしていきたいです。

・先生が話されていた講義自体が、まさに訓練、実際なんだと思います。キーワード、7秒間、抑揚、繰り返し...。今回は症状・対応法・患者指導と、聴きたかったことが全て網羅されていて、しかも分かりやすくイラストでまとまっていて大変素晴らしかったです。

・高次脳機能障害という言葉の大きさに、具体的なイメージが描けずにいましたが、今回出席してイメージがつかめたように思います。

・「悪いところではなく、良い所を伸ばす」というところがとても印象的でした。患者さんばかりでなく、普段の行動も指摘されているような気がしました。

・家庭で暮らしていくことをサポートする、難しいことより気持ちよく楽しく暮らしていくヒントがたくさんあり、私たちは専門家ではあるけれど、良い理解者となって気持ちに添うことが大切だと改めて思いました。

・実際にあったエピソードが盛り込まれ、これからの自分の対応にとても役立つことが多かったです。それと同時に、今までやってきた自分の対応がどうだったか、自分でもフィードバックしながら講義を聴く事ができました。

・「まずは呼吸と姿勢を整える」「環境を整える」。在宅でリハビリを提供している私にとって、基本的なことですが、改めてその重要性・必要性を感じさせていただきました。さらに「嚥下障害にはPTだ」とのお言葉も、PTにとっては嬉しかったです。当たり前にやっていることを、他職種の方に認められるとモチベーションも高まります。

・今回の講義を聴いて、特別な何かを準備するだけが必要なことではなく、私たちがちょっとした事を行っていくことで、よりケアができるようになるとわかりました。相手を理解し、供に解決していけるよう、現場に戻って実行していきたいと思います。

・今回の講義は、今までの疑問のほとんどを解決してくれるような、ためになる、そして面白い講義でした。また聴きたいのでアンコールでやってください。

・多くの受け持ちのお客様へのアプローチに迷っていたので、本日の講義を聴いて、まず呼吸・意識・姿勢から入り運動していくことで、基礎的な循環を作ることができるとわかり、頭の中が整理され、気持ちもスッキリしました。ガチ・ボーイのビデオ、泣きそうになりました。是非借りて見てみたいと思います。

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